2022/05/11

無線LANネタ(基本的な内容)

2.4GHz帯のチャネル配置

IEEE802.11b/g/nなどで使用する2.4GHz帯は、13のチャネルを利用できる。しかし隣接するチャネルと周波数が重なっているので、選択するチャネルによっては干渉が発生してしまう。複数の無線LANアクセスポイントを干渉させずに使うには、「1ch」「6ch」「11ch」といった離れたチャネルを使うのが定石。

2.4GHz帯では干渉なしに使えるチャネルは3つしかない

5GHz帯のチャネル配置

5GHz帯は使えるチャネルが多い。チャネルを変えればAP同士で干渉しないので、オフィスなど多くの端末が無線LANに接続する環境でも使いやすい。ただし干渉は皆無でない。気象レーダーなどの外的要因によって電波干渉が起きる場合がある。

5GHz帯なら19個のチャネルを使える

CSMA/CA

無線LANは、APを中継してステーション間で通信が行われる。このときAPはブリッジとして機能する。無線LANの伝送媒体は各ステーションで共有されているため、アクセス制御方式にCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance: 搬送波感知多重アクセス/衝突回避)方式を採用している。CSMA/CA方式には、ACK制御方式とRTS/CTS制御方式の二つの方式がある。

ACK制御方式

ACK制御方式は、次の手順に従って通信を行う。
1. 送信ステーションは、電波の有無を検知し、通信中のステーションがないことを確認する
2. 送信ステーションは、DIFSと呼ぶ時間待機し、さらに「コンテンションウィンドウ」又は
「バックオフウィンドウ」と呼ぶランダムな時間待つ
3. 送信ステーションは、データフレームを送信する。フレームのデュレーション領域には通信を予約する時間が格納される。この時間をNAV(Network Allocation Vector: ネットワーク割当てベクトル)という。ほかのステーションは、フレームを受信するとNAV値を更新し、その予約期間が満了するまで送信を行わない。この仕組みにより、送信完了まで衝突が回避される
4. 正常に通信できたら、APはACKフレームを送信ステーションに返信する。ACKフレームのNAV値には「0」がセットされる(ただしフラグメンテーションが発生しない場合)
5. 送信ステーションはACKフレームを受信する。一定期間内にACKフレームを受信できなかった場合、通信障害が発生したとみなしてフレームを再送する


RTS/CTS制御方式

RTS/CTS制御方式は、次の手順に従って通信を行う。
1. 送信ステーションは、電波の有無を検知し、通信中のステーションがないことを確認する
2. 送信ステーションは、DIFSと呼ぶ時間待機し、さらに「コンテンションウィンドウ」又は
「バックオフウィンドウ」と呼ぶランダムな時間待つ
3. 送信ステーションは、RTSフレームを送信し、APに対して送信権の獲得を要求する。フレームのデュレーション領域には、RTSフレーム用のNAV値が格納されている
4. APは当該ステーションに送信権を割り当てる。それを全てのステーションに通知するため、CTSフレームを送信する(全ての端末はAPとは通信できる)。フレームのデュレーション領域には、CTSフレーム用のNAV値が格納されている
5. 送信ステーションはCTSフレームを受信し、自分が送信権を獲得したことを確認する(ほかのステーションは、当該ステーションが送信権を獲得したことを知る)
6. 送信ステーションは、データフレームを送信する。
7. 正常に通信できたら、APはACKフレームを送信ステーションに返信する。
8. 送信ステーションはACKフレームを受信する


Ad-Hocモードとインフラストラクチャモード

無線LANのステーション同士を接続するモードには、次の二つがある。
モード 内容
Ad-Hocモード
(アドホックモード)
APを使用せずに、全ての無線LAN端末が1対1(Peer to Peer)で通信する方式
インフラストラクチャモード APを使用する形式。1台のAPでカバーできるステーションの台数は20~30台といわれている。APが複数あれば端末を移動してもローミング機能により別のAPと通信が可能

BSS, ESS

無線LANのセグメントは大きく分けて二つある。
セグメント 内容
BSS
(Basic Service Set)
アドホックモードでは、通信し合うステーションで構成された無線LANのセグメント。IBSS(Independent BSS)とも呼ばれる。インフラストラクチャモードでは、1台のAPで構成された無線LANのセグメント
ESS
(Extended Service Set)
1台のAPだけでは電波の到達距離に限界がある。そこで、AP同士を有線LANなどで接続し、より大規模な無線LANセグメントを構成する。これをESSという。AP同士を結んだネットワークをDS(Distribution System)という。なお、DSは一般に有線LANだが、AP同士を無線LANで通信し合うWireless DS(WDS)も構成可能

ローミング機能

無線LANステーションを移動した場合、最寄りのAPに自動的に接続して無線通信を継続する機能を「ローミング機能」という。ただし、AP及び無線LANステーションは、同一のESSに属している必要がある。なお、隣接するAPは、電波干渉を避けるために異なるチャネルを用いる。

無線LAN規格のフレームフォーマット

無線LANフレームは、「PLCPプリアンブル」「PLCPヘッダ」「PSDU」から構成される。PSDUはMACフレームであり、その中にIEEE802.11ヘッダとデータ、FCSが含まれている。



フレーム制御、デュレーションID

フレーム制御領域は、フレームのタイプ(管理用/制御用/データ用)、WEP暗号化の有無、ToDS、FromDSなどを設定する。

0のとき 1のとき
ToDS 宛先が無線LAN端末 宛先がアクセスポイント
FromDS 送信元が無線LAN端末 送信元がアクセスポイント

デュレーション/ID領域は、端末がデータを送信できるようになるまでの待機時間などを表す。

フレームアグリゲーション

宛先が同じ複数のフレームを連結して送信する技術。CSMA/CA方式のスループットの低下を軽減するために、IEEE802.11nから導入された。CSMA/CA方式におけるスループットの低下要因は、「確認応答」と「フレームの送信待ち時間」の二つ。フレームアグリゲーションを使用することで、1フレーム当たりの無線チャネル占有時間は長くなり、他の端末の送信待ち時間も長くなるが、全フレームの送信にかかる所要時間は短縮できる。


通信形態

無線LANの通信形態は4種類ある。それぞれの通信形態によって、アドレス領域に格納される値は異なる。

通信形態 通信形態 フレーム制御 アドレス 適用
宛先 送信元 ToDS FromDS 1 2 3 4
無線 無線 0 0 DA SA BSSID なし アドホックモード
無線 有線 0 1 DA BSSID SA なし インフラストラクチャモード
有線 無線 1 0 BSSID SA DA なし
無線 無線 1 1 RA TA DA SA Wireless DS(WDS)

DA Destination Address 宛先端末のMACアドレス
SA Source Address 送信元端末のMACアドレス
BSSID Basic Service Set ID アドホックモード:乱数から生成
インフラストラクチャモード:APのMACアドレス
TA Transmitter Address 送信側APのMACアドレス
RA Receiver Address 受信側APのMACアドレス

BSSIDは48ビット。インフラストラクチャモードではAPのMACアドレスがBSSIDに採用される。一方、アドホックモードではAPを使用しないため、ユニークなBSSIDを生成する。I/G(Indivisual/Group)ビットが「0」、G/L(Global/Local)ビットが「1」にセットされ、残り46ビットを乱数が占める。ステーションのMACアドレスはI/Gビットが「0」、G/Lビットが「0」であり、マルチキャストアドレスはI/Gビットが「1」、G/Lビットが「0」なので、BSSIDはどのアドレスとも重複しない値になる

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